開発の背景
NPO法人はkintoneを利用する場合、チーム応援ライセンスの申請ができ、申請が通ると年間9,900円(税抜)で900ユーザーの利用ができます。
NPOのスタッフだけで900ユーザーを使う団体はなかなかいないですが、NPO団体の協力者や関係者を含めると900ユーザーを超えるNPO法人は結構多いのではないかなと思います。
そこで、今回の事例ではお仕事を発注している案件を登録者さん(会員さん)が自分のマイページで管理できるようにした事例を紹介します。
kintone と WordPress の連携でマイページ作成
NPO法人多言語センターFACIL様では主に外国人住民や観光客のために、翻訳・通訳、外国語ナレーション、パンフレット制作などを通じて、多言語サービスを提供しています。
翻訳・通訳の作業をしているのはNPO法人多言語センターFACILのFACIL翻訳通訳登録会員です。
FACIL翻訳通訳登録会員になるには登録フォームから登録するとFACIL翻訳通訳登録会員に登録ができます。
現在、FACIL翻訳通訳登録会員は1,800人以上います。
FACIL翻訳通訳登録会員の全員にkintoneのアカウントを付与するのは不可能なので、WordPressで会員ごとのマイページを作成し、以下のことができるようにしました。
- 案件のステータスの確認
- 支払い状況の確認
- 発注日、納期、翻訳言語、受注金額
- 納品物(翻訳したファイル)のアップロード(kintoneに保存される)
- 支払明細のダウンロード
仕組み
翻訳 / 通訳会員になりたい場合は、HPにある会員登録フォームから申し込みをします。
フォームから送信されたデータはkintoneの【会員登録者管理】アプリに登録されます。( Form data to kintone プラグインを利用してフォームからkintoneへ情報を登録 )
案件が発生すると事務局がkintoneの【案件管理】アプリに内容を登録し、【発注履歴】アプリに案件と会員を紐づけをし発注レコードを作成します。
会員は案件の内容をWordPressで作成したマイページから閲覧と納品物をアップロードができます。(WP-Members Membership プラグインとMy Kintone Pageプラグイン(非公開)を利用してマイページを構築)
freee のAPIを使って連携をしており、freeeで入金処理を実施すると請求管理アプリの入金日を更新、会員へ振込処理をすると発注履歴の振込ステータスと振込完了日が自動で更新されます。
見積書 / 請求書作成にはレポトンPDF・EXCEL を利用しています。
マイページで管理している内容
会員のマイページには以下のことができます。
- 案件名の閲覧
- 作業内容の閲覧
- 発注日、納期、翻訳言語の閲覧
- 発注金額、交通費、源泉金額の閲覧
- 担当案件のステータスの閲覧
- 振り込み状況の閲覧
- 納品物のアップロード(kintoneに保存されます)
- 月毎の支払明細のダウンロード
既存プラグインを使って開発工数を削減
マイページを構築するにあたり、1からの開発をするとなるととても時間とコストがかかります。
マイページのコアとなる機能は WP-Members Membership を利用し、カスタマイズが必要な部分は WP-Members Membership が提供してるフックを活用をしています。
WP-Members Membership は多くのフックを提供しており、カスタマイズするのを助けてくれます。
まとめ
今回は、NPO法人がkintoneとWordPressを連携させて、効率的なマイページを構築する事例を紹介しました。
NPO法人多言語センターFACIL様の例をご覧いただくと、NPOがチーム応援ライセンスを活用してコスト効率を上げつつ、マイページによって登録会員とスムーズなコミュニケーションを実現できることがおわかりいただけたかと思います。
この事例から学べる主なポイントは、次のとおりです。
- kintoneのチーム応援ライセンス活用
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NPO法人がkintoneを低コストで活用し、多数のユーザーと連携できる利点が明らかになりました。
- kintoneとWordPressの連携
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登録会員がWordPressを通じてマイページから案件の詳細を管理できるため、効率的な業務運営が可能です。
- システムの仕組み
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kintoneのアプリとWordPressのプラグインを活用することで、効率的なマイページ構築が可能であり、freeeとの連携による自動化も実現できます。
- 既存プラグインの活用
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WP-Members Membershipなどのプラグインを活用し、必要な機能を柔軟にカスタマイズすることで、開発工数を削減できます。
NPO法人がこの事例を参考にすることで、コスト効率の良い方法で外部会員との連携や業務の効率化を図ることが可能です。今後、さらに多くのNPOがkintoneとWordPressの連携によって効率的なマイページを構築できるよう、この記事が参考になることを願います。
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